このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「大晦日と元日」です。
兄さまは掛取り、
母さまはお飾り、
わたしはお歳暮。
町ぢゆうに人が急いで、
町ぢゆうにお日があたつて、
町ぢゆうになにか光つて。
うす水いろの空の上、
鳶(とんび)は靜かに輪を描いてた。
兄さまは紋附き、
母さまもよそゆき、
わたしもたもとの。
町ぢゆうに人があそんで、
町ぢゆうに松が立つてて、
町ぢゆうに霰が散つてて。
うす墨いろの空の上、
鳶は大きく輪を描いてた。
(大晦日と元日:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
大晦日と元日とは、
たった一日違いなのに
その変わり様は大違いといったところです。
せっせと立ち働いて、
元日はおごそかに振袖を着て
すまして迎えます。
鈴木 澪
冬空にトンビとは、
さすがお魚の町ですね。
トンビには暮れも正月もありません。
ただ、ゆうゆうと空をとぶ、いい絵です。
大西 進