このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「空つぽ」です。
あかい手箱にいつぱいの、
きれいなきれを着せてみる、
私の人形は、空つぽよ。
からつぽだから、いつまでも、
顔もよごれず、手ももげず、
世界で一ばんきれいなの。
からつぽだからその上に、
はなしも出來りやききもして、
世界で一ばんりこうなの。
紅い鹿の子や、友禅や、
飽かずに、飽かずに、着せかへる、
私の人形は、からつぽよ。
(空つぽ:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』(JULA出版局)より
みすゞさんは人形を空想しているんですよね。
持っていないお人形、あったらいいけど
ないから色々考えるし、
世界中のどんな人形よりもきれいで、
りこうで、何でも自由になります。
鈴木 澪
透明人間ならぬ「透明人形」を考えるみすゞさん、
実は私も子どもの頃「透明人間」がはやっていて、
なれたらどんなにいいかと思ってました。
今だってふと思う。
みんなの中にいても姿がみえないから
「何んて言ってるか、本音がききたくて……」。
みすゞさんの「人形」は美しい人形を
思ってだからチョッとちがったかな、
ハハハ……。
大西 進