文字燒きの燒けるにほひよ、
雨がふる、
こんこんこまかな雨がふる。
駄菓子屋の奥の暗さよ、
ぽつちりと、
あかい煙草の火がみえる。
五六人そこらの辻で、
くちぐちに、
さよならしてる聲がする。
文字燒きの燒けるにほひよ、
雨がふる、
こんこんこまかな雨がふる。
(文字燒き:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
お菓子のお焼きは幼い頃、
嬉しかったおやつだった。
私も子どものころ、お焼き買いは私の役目で、
夜、買いに走った記憶があります。
雨の日には傘をさし、少し緊張ぎみに行ったのでしょう。
鈴木 澪
おいしいおかしをかいにきて、町の姿や空もよう、
みんな一つに詩の世界にとじこめて、
よむ人をたのしませて。雨も仲間入りですね。
大西 進