このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「こはれ帽子(しやつぽ)」です。
てんてん手毬、
おてて手から、辷(すべ)つてころげて、
乞食の子供にひろはれた。
手まりは欲しし、怖さは怖し、
睨みや、睨んではうつてくれて、
行くか、歸るか、あち向きかけて、
麥藁帽子をすぽりとかぶりや、
すぽり、こはれた、こはれた、帽子、
つばがすぽりとくびまで抜けた。
くるり、ふりむき、アハハと笑うた、
私もうつかり、アハハと笑うた。
こはれ帽子の、そのゆくみちにや、
とんぼ、千も萬も舞ひ舞ひしてた。
(こはれ帽子:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
情景が見えるようです。
思わず笑みがこぼれます。
みすゞさんのお茶目な部分が出ています。
鈴木 澪
なんともコッケイなシーンですね。
アハハ……と私も思わず笑ってしまった。
それにしても、またまたお勘定ですか?驚きです。
とんぼが空いっぱいに飛んでいる。
でも思い出すよ私も、空いっぱいとんでたトンボ。
大西 進