このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「夢と現」です。
夢がほんとでほんとが夢なら、
よからうな。
夢ぢやなんにも決まつてないから、
よからうな。
ひるまの次は、夜だつてことも、
私が王女でないつてことも、
お月さんは手では採れないつてことも、
百合の裡(なか)にははいれないつてことも、
時計の針は右へゆくつてことも、
死んだ人たちやゐないつてことも。
ほんとになんにも決まつてないから、
よからうな。
ときどきほんとを夢にみたなら、
よからうな。
(夢と現:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
この様な詩を書くときのみすゞさんは、
きっとなにか現実の世界に
問題を抱えていたのでは?
実際だれでも、もしこれが夢であったら……、
と思うことはよくあることですし、
夢の中ではお金持ちにも王女にもなれますから……。
鈴木 澪
「ゆめとげん」と司会した人がいました。
笑えません。「うつつ」
という耳から入った言葉は知っていても、
漢字で書くことはないから。みすゞさん、
いつもむずかしい漢字で詩を書いていますね。
ほんとに、みんな夢なら自分の思うように
描けて生きられていい。でも、
ほんとにここまで考え思うとは
ふとセツナイ気持ちにもなります。
つらいことがあったのでしょうか?
大西 進