このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「汽車の窓から」です。
お山であかいは
あれはなに。
あれは櫨(はじ)の木、櫨紅葉、
なにか怖いな、黒い赤。
お里であかいは
あれはなに。
あれは熟れてる柿の實よ、
見てもうまそな、黄いな赤。
お空であかいは
あれはなに。
あれはお汽車の燈のかげよ、
さみしい赤よ、亡い赤よ。
(汽車の窓から:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
赤にもいろんな赤があるって事を
みすゞさんは気付いていて、
このような詩が生まれました。
最後の「亡い赤」が印象的に思われます。
心の中でしか見ることのできない
追憶の中の赤い色なのでしょう。
鈴木 澪
そんなに度々汽車の旅をしたことの
ないはずのみすゞさん、
あの時乗った汽車の窓からみた里山の草や木が、
なぜか心にのこっていて、
空を見上げたときにふとさみしさが
心にうつります。
見えないなにかがよぎります。
この日は赤い燈が一つ、さみしい赤でした。
大西 進
明日もぜひ見て下さいね。
(更新は午前中の予定)