このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「どんぐり」です。
どんぐり山で
どんぐりひろて、
お帽子にいれて、
前かけにいれて、
お山を降りりや、
お帽子が邪魔よ、
辷ればこはい、
どんぐり捨てて
お帽子をかぶる。
お山を出たら
野は花ざかり、
お花を摘めば、
前かけ邪魔よ、
とうとうどんぐり
みんな捨てる。
(どんぐり:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
女の子が山にでかけて、どんぐりを拾ったのに、
次々と捨てて最後にお花に出会い、
どんぐりをみんな捨てる。
目に見えるような光景です。
お花をいっぱいかかえた女の子は絵になりますね。
みすゞさんの少女時代はこんな風だったのが
想像できて楽しい詩です。
今は一人で山へなんか出かけたら
何がおこるか分からない時代ですが、
みすゞさんの時代はのんびりとした
いい時代だったのでしょう。
羨ましい気がします。
こんな詩が書けるのも、平和な時代背景があったのかも。
そしてみすゞさんの心も平安だったのでしょう。
鈴木 澪
里山の宝もの「どんぐり」、それが最近少なくなって、
森のくまが農家のくだものを食べにくる。
「ある日 庭の中 くまさんに出会った
花咲く庭の中……」(森のくまさんの替え歌)
里山の大切さがさけばれていても、
人間が住むところがどんどん森へせまっている現状。
みすゞさんは里山を愛しました。
そしてその生き物たちの連鎖の大切さを詩に託しています。
大西 進