このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「にはとり」です。
お年をとつた、にはとりは
荒れた畑に立つて居る
わかれたひよこは、どうしたか
畑に立つて、思つてる
草のしげつた、畑には
葱の坊主が三四本
よごれて、白いにはとりは
荒れた畑に立つてゐる
(にはとり:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
みすゞさんは、にわとりにさえ「お」をつけて、
ていねいにお年よりを敬う姿勢を見せています。
にわとりも人間も同じ生き物、年老いた者にたいし、
その悲哀を感じるのは同じ生き物として、
当然といえば当然であると思います。
こうした弱い者に対する思いやりは、
みすゞさんの一貫した姿勢である
と言えます。
「にはとり」、この詩は心悲しい風景である。
荒れた畑に立つにわとりの母親。
子を案ずる様子がまわりの状況の描写でいっそう、
にわとりの心の有様を表現していると思うのです。
みすゞさんの短い詩の言葉一つひとつが、
どれを取り除いてもその効力を失うという、
強いものを感じる。
計算されているとも、天性のものとも言える。
おそらくみすゞさんにとって、
自然にほとばしり出てくるものに違いないと感じます。
鈴木 澪
みすヾさんは世の中で役に立たないと思われている
弱いものに特別にやさしいまなざしをむけます。
もうご用がすんだからと脇にひっそりといる、
とし老いたにわとりを思っています。
その舞台は「荒れたはたけ」というように、
さらにさらにさびしさを重ねます。
大西 進
明日もぜひ見て下さいね。
(更新は午前中の予定)