このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「舟乗と星」です。
舟乘は星をみた、
星はいつてた、
「おいでよ、おいで。」
波はずゐぶん高かつた。
舟乘の眼はかがやいた。
風もおそれず、波もみず、
星へへさきを向けてゐた。
舟乘は岸へついてた、
知らぬまに。
「星か、星か、」とおもつてた。
星はやつぱり遠かつた。
舟乘をにがしたと、
波はなほさら怒つてた。
(舟乘と星:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
星は船乗りを楽しませたり、お伽の国へ誘ったりする
心をとらえる魅力のある存在に違いありません。
それに引きかえ波は自分のことが「眼中」になかった……、
と怒っています。とても愉快な発想ですね。
鈴木 澪
とつぜんコワイお話し。みすゞさんは時々、
こういうコワイお話しをしますね。
舟の上は本当にキケンがいっぱい。
今のように設備がない時代の舟、
しかもまずしい漁師の舟ですから。
舟は星座をたよりに進みます。
渡り鳥もそうだという説もありますね。
大西 進
ぽつかりと
ふうせん、
瓦斯(ガス)の灯が映るよ。
影燈籠の
人どほり、
氷屋の聲が沁みるよ。
しらじらと
天の川、
夏越祭の夜更けよ。
辻を曲れば
ふうせん、
星ぞらに暗いよ。
(夏越まつり:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
みすゞさんの詩は作曲する人のために
書かれているのではないかと思うことがあります。
この詩もそんな気のするものの一つです。
言葉数が合っていてリズミカル。
鈴木 澪
ふうせんが登場です。
空へむかって上るふうせんがほしくてほしくて。
でも高くてなかなか買ってもらえなかった。
自分の口でプーとふくらまし、
手で高く上げてあそんだ。
ふくらませるといろんな「え」がかいてあった。
ふうせんはゴムでも紙でも
夢があった。なつかしいな。
大西 進
明日もぜひ見て下さいね。
(更新は午前中の予定)