このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「さざえのお家」です。
海の夜あけだ、砂のみち
トントン、「ちちやでございます、
海豚のお乳をおきましよか。」
海のまひるだ、海松(みる)並木、
「号外、号外」、チンチリチン、
「鯨が鰤網(ぶりあみ)にかけられた。」
海の夜ふけだ、岩のかげ、
トントン、「急ぎぢや、はよ開けた、
電報、電報、」ひつそりこ。
お風邪か、お留守か、お寝坊か、
さざえのお家は戸があかぬ。
明けても、暮れても、ひつそりこ。
(さざえのお家:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
海がどんなに騒がしくても、
さざえが身動きひとつしない様子を
こんな風に表現するみすゞさんは
ユーモアのセンスも持ち供えていました。
鈴木 澪
リズミカルな詩です。
夜あけの海だ/まひるの海だ/夜ふけの海だ
でもよいのに、頭を海でそろえて、
リズムがよいですね。
あかぜか、おるすか、おねぼうか、
とこんどは「お」をあたまにそろえていますね。
大西 進
ぽつかりと
ふうせん、
瓦斯(ガス)の灯が映るよ。
影燈籠の
人どほり、
氷屋の聲が沁みるよ。
しらじらと
天の川、
夏越祭の夜更けよ。
辻を曲れば
ふうせん、
星ぞらに暗いよ。
(夏越まつり:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
みすゞさんの詩は作曲する人のために
書かれているのではないかと思うことがあります。
この詩もそんな気のするものの一つです。
言葉数が合っていてリズミカル。
鈴木 澪
ふうせんが登場です。
空へむかって上るふうせんがほしくてほしくて。
でも高くてなかなか買ってもらえなかった。
自分の口でプーとふくらまし、
手で高く上げてあそんだ。
ふくらませるといろんな「え」がかいてあった。
ふうせんはゴムでも紙でも
夢があった。なつかしいな。
大西 進