このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「大きな手籠」です。
手籠、手籠、
大きな手籠。
廣い野へ出て、この籠に、
いつぱい蓬(よもぎ)を摘まうとて、
どの子も、どの子も、町の子は。
けれど、どの子も知りやしない、
野にある蓬はみいんな、
町へと賣りに行くために、
田舎の人が摘んだのを。
節句は來ても、春淺い、
よもぎはほんの、芽ばかりで、
摘めばしほれてしまふのに、
摘めばしほれてしまふのに。
手籠、手籠、
大きな手籠。
どの子も、どの子も、樂しげに。
(大きな手籠:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
町の子は本当のことを知りません。
手かごにきっとよもぎをいっぱいつめる
と思って楽しそうにしています。
真実を知ったならきっと
がっかりすることでしょう。
鈴木 澪
リズムがあります。わくわくします。
でも町の子ならずとも木の芽、
草の芽つみはむつかしい。
タラの芽さがしにいったこと
思い出します。
村の人がのこしたものまで、
みーんなつんじゃった町の人のこと。
でもたのしい春の芽つみ。
大西 進