このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「小さなうたがひ」です。
あたし ひとりが
叱られた。
女のくせにつて
しかられた。
兄さんばつかし
ほんの子で、
あたしはどつかの
親なし子。
ほんのおうちは
どこか知ら。
(小さなうたがひ:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
兄妹喧嘩をすると、決まって
「お前は橋の下から拾われてきた子だ…」
と言われ、本気にはしないけれど内心
「もしかしてそうだったらどうしょう?」
なんて不安になったりもしたものです。
みなさんもそんな経験があるのでは
ないでしょうか?
みすヾさんもご多分にもれず、
そんな経験があったんだろうな?
なんて想像してしまいます。
そんな、小さな子供の
「けして小さくない悩み」
を素直な気持ちで表現していると思います。
そして、特にみすヾさんの小さい頃は
女は男に逆らうなんてもっての他、
まさに「女のくせに…」だった訳です。
ひと時代まえの女性は社会通念、
価値観の前に思い通りの生き方ができず、
気の毒だったと思います。
鈴木 澪
父の死がみすゞさんの詩の
さびしさの一つ。
父の死は母もまわりも
語ることがはばかわれ、
そのため、みすゞさん自身、
本当の子?かどうか
「時々ふっと不安」になるのでした。
大西 進