このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「お使ひ」です。
お月さま、
私は使ひにまゐります。
よその孃ちやんのいいおべべ、
しつかり胸に抱きしめて。
お月さま、
あなたも行つてくださるの、
私の駈けてゆくとこへ。
お月さま、
いたづらつ子に逢はなけりや、
いつも私はうれしいの。
おかあさんのおしごとを、
よそへ届けにゆくことは。
それに、それに、
お月さま、
私はほんとにうれしいの。
あなたがまあるくなるころに、
私も春着ができるから。
(お使ひ:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
ひとりだったらさみしいけれど、
お月さまもいっしょに
ついてきてくれるから、
お使いがとても楽しそうです。
お月さまと話しをしながら、
みすゞさんはもうすぐ自分の着物を
おかあさんが作ってくれるのが、
とても楽しみのようです。
みすゞさんにとって月や星や、
そしてすべて自然はお友だちでした。
鈴木 澪