このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「夜の雪」です。
ぼたん雪、こ雪、
雪ふる街を、
盲人がひとり、
子供がひとり。
明るい窓で
ピアノはうたふ。
盲人はきくよ、
杖をとめて。
牡丹雪はかかる、
その手のうへに。
子供はみるよ
明るい窓を。
牡丹雪はかざる、
おかつぱの髪を。
ピアノはうたふ
こころをこめて、
ふたりのために、
春の日の唄を。
牡丹雪、こ雪、
ひらひら舞ふよ、
二人のうへに
あたたかく、うつくしく。
(夜の雪:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
ミュージカルの一場面のような詩ですね。
最後の行がすべてを物語っています。
あたたかく、うつくしく。
みすゞさんの大好きな、それは言葉です。
鈴木 澪
ピアノのある家は「まれ」でした。
でも一つの町に一軒はそんな家がありました。
私の住んでいた町にも一軒だけ、
道の外までピアノのおけいこの
音がする家がありました。
楽器屋さんの女の子でした。
けはいで外できいていると感じると、
なんだかきかせてくれるように弾いていたような、
そんな幼い日を思い出させます。
大きなボタン雪が印象的です。
大西 進